第80回:個人差に配慮して 高齢者の食事 | |
玉島協同病院 管理栄養士 平野 澄子 |
老年期は他の人生期に比べて個人差が大きいので暦の年齢より生理的年齢(個人に合わせた)を基準にした食生活をするのが自然でしょう。高齢でも若い人と消化・吸収力はあまり劣ってはいないのです。 なるべく噛む 柔らかいものばかりだと、でん粉質に偏りすぐ満腹になって副食が入らなくなり、蛋白質(血や肉を作る)が不足します。そうならないために失った歯は義歯で補い、なるべく噛むようにしましょう。また、口に柔らかい食べ物は便を堅くし堅い食べ物は柔らかい便を生むといわれます。食物繊維の多い玄米、豆、海藻、きのこ、芋、根菜、果物などしっかり食べましょう。 野菜で十分? 会話で、よく聞くのですが、「年じゃから、あっさりした野菜で十分」などと言われますが、これは、かん違いです。人の身体は少しずつ壊れていて(新陳代謝)蛋白質により補われています。これは、老いも若きも同じです。肉魚、大豆製品、卵、乳製品など極端に少ないと抵抗力が落ちて病気になりやすく回復も悪くなります。肺炎、尿路感染、床ずれなどが発症しやすくなる場合もあります。そして、高齢者によく見られるのが貧血です。出血がないのに貧血があるのは食べ物の偏りや蛋白質の少ない食生活かもしれません。一度、意識せずに一日の食事内容を書いて見直してみるのも良いと思います。 大切な水分 食事ではありませんが、大切な物に水分があります。高齢になると、水分欠乏のサインが鈍くなるようです。尿の回数を気にして水分を控える方がおられますが、やめましょう。牛乳はカルシウムや蛋白質など補えるので飲み物としてはお勧めです。 おかずの目安 1度に1人前食べられない時はおやつを食べながら4〜5回食も良いでしょう。毎食のおかずの目安は魚、肉、大豆、卵の内いずれかと野菜料理が1〜2皿あれば十分でしょう。味付けはおかずだけ食べてもスイスイ食べられるのが薄味の目安です。 |
カルシウムと食物繊維がとれる献立
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